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2010年6月30日 (水)

無駄話<食は命なり>

 最近「食は命なり」という言葉よく耳にします、これは新しい言葉と思っていましたがそうではないようです。江戸中期の人、水野南北(1760~1834)の言葉で、彼は「飲食により、人間の運命は変わる」 という意味で「食は命なり」という言葉を残したそうです。現代の「食べ物と健康」の関連の意味による、生命の「命」でなく、人生命運の「命」のことだったようです。

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 水野南北という人は数奇な運命の人で、幼児の時に両親を失って孤児となり、鍛冶屋をしていた叔父に引き取られましたが、性格はすさみ、10歳の頃から飲酒を始め、喧嘩ばかりしていたそうです。そして18歳頃、酒代欲しさに強盗に入り捕らえられます。

  牢内での生活を通じて南北は、人相について興味深い事実を発見します。罪人として牢の中にいる人の相と、普通に娑婆生活を送っている人の相の間に、明らかな違いがあることに気づいたのです。これがきっかけとなり、南北は観相に関心を持つようになったのです。

  出牢後、南北はさっそく、当時大阪で名高かった人相見を訪れ、自分の相を見てもらうと、「剣難の相であり、あと1年の命」と宣告されてしまったのです。愕然とした南北が、助かる方法はあるかと問うたところ、その唯一の方法は出家することであると言われたのです。

  南北は天下稀に見るほどの悪相・凶相の持ち主だったそうです。そこで禅寺を訪れて入門を請うたのですが、住職は南北の悪人面を見、断ろうと思い、「向こう1年間、麦と大豆だけの食事を続けることができたなら、入門を許そう」と告げたのです。

  助かりたい一心の南北は、この条件を忠実に実行し、港湾労働者として従事しながら、1年間、麦と大豆だけの食事を実践したのです。 こうして1年が経過し、約束通りのことを実行した南北は、禅寺の住職のところへ行く途中に、再び例の人相見を訪ねてみたところ、この人相見は南北の顔を見るなり驚いて、「あれほどの剣難の相が消えている。貴方は人の命を救うような、何か大きな功徳を積んだに違いない」と言ったそうです。

 南北が食事を変えて1年間貫き通したことを話したところ、それが陰徳を積んだことになって、彼の凶相を変えてしまった、と言ったそうです。これで禅寺に行く必要のなくなった南北は、自分も観相家の道を志そうと決意し、諸国遍歴の旅に出た。水野南北、21歳の時でした。 

 その後観相学の修行を積み、 50歳頃のこと、彼が伊勢神宮へ赴き、五十鈴川で21日間の断食と水ごりの行を行なった際、豊受大神の祀られている外宮で、「人の運は食にあり」との啓示を受けたのだそうです。

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  豊受大神は、五穀をはじめとする一切の食物の神で、天照大神の食事を司ると言われています。 南北は、「我れ衆人のために食を節す」という決意のもとに、生涯粗食を貫いたそうです。その食事の内容は、主食は麦飯で、副食は一汁一菜であり、米は一切口にせず、餅さえも食べなかったそうです。また若い頃はあれほど好きだった酒も1日1合と決めて、けっしてそれ以上は飲まなかったということです。

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 水野南北はこういう自分の体験をもとに「食は命なり」という言葉を残したのだそうです。
 栄養過多に陥りがちな現代の「食」は健康を害し、病気になり命を縮めるということは、食は運命を変えるということになり、「食は命なり」は現代にも通じることになります。



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