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2011年1月13日 (木)

無駄話<十三夜>

 今日はもう13日、旧暦なら正月十三夜、もう内容は殆ど忘れて終っていますが、高校生の頃だったか、「たけくらべ」「にごりえ」「十三夜」と続けて読んだ樋口一葉の名作「十三夜」を思い出しました。ヒロイン「お関」のこと、現代女性なら、「馬鹿らしい」と一笑に付しそうな話でした。

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 美貌の娘お関は、高級官吏の原田勇に見初められ強く望まれていわゆる身分違いの結婚をするのですが、最初はお関を「下へも置かぬ」扱いをしていた勇、一人息子が生まれてからは、人が変ったように横暴になり、何かにつけてお関に辛く当たるようになります。息子が5歳になるまでじっと辛抱してきたお関が、耐えかねて旧暦正月十三夜の宵、秘かに実家に戻り、思い切って父に離婚の決意を語ります。

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 傍で聞いていた母親は娘に同情し、娘婿に怒りを覚え、そんな夫に我慢することはない戻って来なさいと言います。これが女性として人間としての本音でしょう。

 父親も同じ思いを持ちながらも、一家の長として涙を飲んでうらはらのことを言うほかありません。離縁すれば息子は父方に引き取られ二度と逢うことも叶わなくなる。弟が職を得ているのも娘婿の伝手のお陰だと説き、お関が不幸なのは分かるが離縁すれば家族全員が不幸になる、同じ不幸であれば今の不幸を我慢するほうがよほどましだ、と静かに諭します。

 この父親の言葉は親心の本音から出たものではなく、当時の一般的な道理であったのでしょう。そのためにお関は父のその言葉を聞くと泣き崩れ、至極最もだということを悟る。そして己を取り戻し、私の身体は今宵十三夜からは、夫のものだと思いますとまで言って婚家に帰っていきます。

 十三夜の月
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 しかし、それまでは「女三界に家なし」と言われ、いったん嫁いだからには実家に戻ることなど夢にも考えられなかった封建時代、女性の犠牲の上に成り立っている社会の不条理を描くと共に、女性が離婚の決意をし、たとえ親にでもそれを語ったという内容は進歩的な作品ということで名作といわれたのでしょう。

 時代は変ったものです。何かにつけて「辛抱」なんていう言葉は死語に近い現代の娘ならもっと早くさっさと帰って来るでしょう。父親も婚約時代から、「嫌になったら何時でも帰ってこい」と口癖のように繰り返しているといい、実際戻って来て嬉しそうな父親も身近で見ます。幸せというのはどういうことでしょう。



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コメント

封建時代に生きた女性は、表に出ない不幸が
沢山あったことだと思います。
今の世だから、女性は強くなりましたが
「我」が表に出て
自分と合わないことは許せない的な不幸が
増えているのも現状です。
私にとっての幸せは、家族が健康で元気でいられること。ありがとうを忘れないで笑顔でいられること。
そして他人と比較する幸せよりも
自分の幸せを噛みしめることが
より自分と周りを幸せにしていくことだと
思っております。

成田は雪もなく連日穏やかですよ。十三夜!乙女の頃、いえ、もっと幼かったかな?ラジオから新派や文学座の舞台中継を聴きながら、空想していた時代がありました。芥川比呂志のフアンでしたからね(*゚ー゚*)。本当にあの時代があって今がありますね。どれだけの女性が諦め、悔しがり、泣いたことでしょう!若くして病死の一葉さんは今だったらもっと大作家だったのになんて愚の骨頂!女性の自我の芽は御法度の時代だったからこそ、才あふれる文体を綴ることが出来たのでしょう。!それにしても一脈ノラにも通じますね。お札に苦しんだ一葉さんが、5千円札にお顔が印刷されるなんて、あの世で苦笑されておいでかも・・・。

いしころとまとさん、耐えることが女性の美徳だった時代も困りますが、現代は男女共に忍耐力の弱いことで起きる不幸が多いようです。
今手元にある小さな幸せを大切にし感謝を忘れないことが、後の大きな幸せを呼ぶことになると思います。

チョロピコさん、ほんとうにあの時代の女性の耐える強さが現代日本の礎になったといえるかも知れません。女性が強くなったのも試練を乗り越えたからでしょう。
男性も対等の強さを以って現代の苦難を切り開いていかなければなりませんね。

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